【タイラー】170-木を育てる家
タイラー
ボクはミッドセンチュリー
確かにボロですよ
ボクの床を根が張って 壁の隙間から
屋根に登り木を生やしちゃったぐらい
アンコールワットのように
自然に帰りかけてるともいえます
でもそれがなんですか
自然と共生してなにがいけないんですか
いつから人は
草木と暮らさなくなったんですか
あ、
そういう話じゃなかった。。
だけどボクをみてください
ボクの施主と建築家さんが
おーそれいいね〜とニヤニヤしながら
夜毎語りあい産んでくれたんです
だって玄関開けたら水盤があるし
でっかいランプがぶら下がってるし
室内の片流れの屋根に間接照明もついてるし
それはもうちゃんと
愛でて愛され創られた空間なんです
ボクに絆されてイケメンの現オーナーが
名乗りをあげてくれて改修を始めました
まぁそのときの嬉しさったらなかったな
そして仲人のアリーも参加しつつ
多能工やら建築家やら大家さんやらを巻き込んで
キャッキャいいながら DIYで
壁を壊し、床を剥がし、庭に砂利を敷き
その先に広がる光景を夢見てくれたんです
だけどだけどだけど
全部やりきるまでの時間が取れず
泣く泣く手放す決断をされました
だからどうか誰か
ボクを引き継いでください、泣
このまま土に返されるのは
それはそれで運命かもしれないけれど
誰かボクを再起させてくれたなら
こんな嬉しいことはない
仕上がった暁には
きっと家の芯からホッコリあっためます
いろんな物語がうまれる場所として
いっぱい人も集まることでしょう
建築関係 とんとんとんができる人なら
シュッとした建物に生まれ変わらせて
くれるはず！ と 淡い期待をよせつつ
どうか どうか おねがいします〜
お値段以上の価値を出します
ボクを 活かしたってください
